今回は、広告代理店のうち、「web専業広告代理店」とは何か?どんなビジネスモデルでどんなことをしているのか?について解説していきます。
私自身web専業広告代理店に所属していた経験もあるので、内情も踏まえながらご説明します!
そもそも広告代理店とは?
そもそも広告代理店とはどういうものなのでしょうか?
どんな企業でも、サービスや商品を宣伝をしないと消費者に届けることは出来ません。例えばテレビを見ていてもCMが流れますし、電車に乗っていてもyoutubeを見ていても広告が流れてきます。あれらは全て企業が消費者に対して宣伝をしているのです。
そうしたクライアント企業の広告活動、つまりマーケティング活動を代理で行う企業のことを広告代理店と呼びます。
広告代理店はテレビやweb広告など、あらゆる広告メディアとの接点を持っており、どこにどのように広告を出したら最も効果的か、というノウハウを持っています。
そのため広告代理店にお金を払ってでも企業はマーケティング活動を依頼するのです。
広告代理店の分類
広告代理店と一言で言えど、大きく3つに分類することが出来ます。
- 総合広告代理店
- web専業広告代理店
- ハウスエージェンシー
総合広告代理店とは
総合広告代理店とは、あらゆるメディアを総合的に扱う代理店のことを指します。
テレビCMを扱うのは主に総合広告代理店のみで、その他にも街中に溢れる看板広告やビルの中にあるデジタルサイネージまで、あらゆるメディアを扱っています。
あらゆるメディアを持っているため、クライアントに最適な広告手法を提案することが可能になります。
また、テレビCMなどの総合広告代理店が扱うメディアは基本的に高額です。テレビCM1本流すためにも、数千万程度の広告費が動くことが考えられます。
そのためクライアントも必然的にナショナルクライアントと言われる、いわゆる大企業が中心となるためダイナミックなマーケティングを実施できることが特徴です。
総合広告代理店の代表的な会社
総合広告代理店の代表と言えば、以下の3社が最も有名です。(規模的にも日本のTOP3の広告代理店です。)
映画のエンディングなど注目して見てもらえるとわかりますが、大体上記の3社が関わっています。
電通と博報堂は、「電博(でんぱく)」とも呼ばれ、就活においても毎年人気のある企業です。
web専業広告代理店とは
web専業広告代理店とは、読んで字の如く、webを駆使したマーケティング活動を主活動とする広告代理店です。
LINEやInstagramなどのSNSや、 GoogleやYahoo!などの検索エンジン、webサイトなど、ネットを使用していると様々な広告を目にするかと思います。
そうしたネット上に出る広告を、webを駆使して扱っているのがweb専業広告代理店です。
webマーケティングとは何かについてはこちらで解説しています。
ちなみに、総合広告代理店でも、自身ではweb広告を扱っておらず、大体の場合が子会社を持ってweb専業広告代理店として独立して活動しています。
今回メインでご紹介するのはこのweb専業広告代理店についてです
web専業広告代理店の代表的な会社
web専業広告代理店の代表的な会社は、以下の3社のような会社があります。
web広告というのは比較的新しい概念で、テレビなど他の広告と比べても約20年ほどの歴史しかありませんが、その草分け的な存在としてあるのがサイバーエージェントです。
アメブロなどが有名ですが、実は広告代理店として事業が最初の成り立ちなのです。
ハウスエージェンシーとは
ハウスエージェンシーとは、ある特定の企業やそのグループ会社のための専属の広告代理店のことです。
基本的に広告代理店は企業とメディアの仲介料を主な収益としていますが、専属の代理店(子会社のイメージです)ではその仲介手数料を割安で受けることが出来ます。
また、専属で代理店事業を行うため、他社に情報漏洩などのリスクを防止できるなどのメリットがあります。
ハウスエージェンシーの代表的な会社
ハウスエージェンシーは、自動車業界や鉄道業界など、古くからある大きな業界にて存在しています。
- トヨタ・コニック・プロ株式会社(トヨタ)
- ジェイアール東日本企画(JR東日本)
- 株式会社アイプラネット(三菱電機)
なぜweb専業と総合代理店と分かれているのか
なぜweb専業広告代理店と総合代理店が分かれているのかというと、それぞれが扱う広告の特性の違いが理由として挙げられます。
- ネット広告
- 広告の効果が数値として細かく出る
- webに関する専門知識が必要
- ネット広告以外のメディア
- 広告の効果は全体の売り上げが伸びたかどうかした分からない
- 広告全般の汎用的な知識で幅広く対応できる
広告の効果が数値として細かく出る
web上のネット広告は、数値を細かく計測することが出来ます。
例えば1つの広告をどの時間に何回表示されて、何回クリックしたか、そのうちの何人が購入に至ったかなどを事細かに計測することが可能です。
一方、ネット広告以外の例えば看板などは、何人が見たかを図ることは現在の技術では不可能で、見たことにより売上に繋がったのかどうかということの把握は難しいです。
そのため、直接購入に繋げるための広告はネット広告、認知やブランディングのための広告はネット広告以外のメディアという棲み分けになっているため、同じ広告でも全く別物になっているのです。
webに関する専門知識が必要
ネット広告を使いこなすためには、例えばウェブサイトの知識やシステムの知識など、専門的な知識が必要になってきて、その知識はweb以外のメディアには活かしにくいです。
一方で、web以外のメディアではある程度正攻法の広告の見せ方などがあるため、例えば雑誌で見せた広告と看板の広告は同一の知識で対応することが出来ます。
こうした広告の特性の違い上から、web専業広告代理店と総合広告代理店は分かれているのです。
web専業広告代理店は具体的にどんなことをするのか?
web専業広告代理店の仕事は大きく分けると以下の2つの仕事に分類されます。
- SEO
- ウェブ広告
上記に付随して広告素材の「制作業務」や「自社ツールの販売」などを行う場合もありますが、主には上記2つ業務がメインになります。
SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、クライアントの自社サイトがなるべく上位に表示されるように対策する技術のことです。
ウェブ広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの上部に表示される広告や、SNS上の広告、ウェブサイト上の広告を管理、運用することです。SEOは基本的には無料ですが、ウェブ広告は基本的には広告がクリックされるごとに広告費(数十円〜数千円)が発生する違いがあります。
web専業広告代理店はどんな組織体制か
web広告代理店の職種としては大きく以下の3パターンがあります。
- SEOストラテジスト
- アカウントプランナー
- アナリスト(広告運用担当)
それぞれの職種について説明していきます。
SEOストラテジストとは
SEOに関しては、基本的に広告代理店のSEO担当自らが手を動かすことは少ないです。
なぜなら、かなり技術的なスキルが必要になり、そうしたスキルはエンジニアの領域になるためです。
そのため、主にはウェブサイトの分析業務、戦略設計、制作会社や自社のエンジニアのディレクション業務がメインの仕事になります。
「クライアントはこうしたキーワードでの検索時を、このようにウェブサイトを改善して成果を上げるべきです。そのためにエンジニアさんはこのようなことをしてください。」というのが一般的な業務内容になります。
アカウントプランナーとは
アカウントプランナーとはいわゆる営業担当です。
SEOと違いウェブ広告は広告運用担当自らが手を動かすため、顧客への対応に時間を割くことが難しいです。
そのため営業担当として、クライアントに対して「このようなメディアに広告を出すべきです。」、「これまでの成果はこのような数値でしたので、今後はこのような施策を行いましょう。」といった提案業務を行います。
また、クライアントへの提案が通った後は、その内容を広告運用担当者に伝えます。つまりクライアントと広告運用担当者の橋渡し的存在になります。
アナリスト(広告運用担当)とは
広告運用担当とは、簡単にいうとクライアントの成果が最大化するようにGoogleなどの媒体上に出稿する広告を管理する仕事です。
詳細な説明は省きますが、基本的にウェブ広告というのはターゲットごとに入札金額を設定して、オークション形式で成り立っています。
そのためターゲットごとにどのような広告をいくらで当てに行くのか、という管理によって成果が大幅に変わってくるのです。
私自身の本職がこの広告運用ですので、詳細はこちらで解説しています。
web専業広告代理店はどのようかビジネスモデルか
we専業広告代理店がどのようにして収益・売上を得ているのか解説していきます。
SEOのビジネスモデル
SEOのビジネスモデルは主にコンサルティング費用として収益を得ています。
前述したようにウェブサイトの分析業務、戦略設計、制作会社や自社のエンジニアのディレクション業務などのコンサルティング業務を行う対価として、月に月額10万円~50万円程度を収益としていることが多いです。
web広告のビジネスモデル
web広告のビジネスモデルは、基本的にはクライアントが使用する広告費に合わせて可変する形になっています。
最低料金が10〜15万円からの広告代理店が多いですが、基本的にはクライアントが使用した広告費の20〜30%を手数料として収益にしています。
例えば100万円の広告費を使ったとすると、100×20%で20万円が広告代理店の収益となります。
手数料の重要なポイントは、広告代理店が期待以上の成果を出せばクライアントはより広告費を出しますので、それに合わせて広告代理店の収益も上がって行くため、広告代理店は成果に対してシビアになる必要があるのです。
web専業広告代理店の将来性はあるのか?
web専業広告代理店について解説してきましたが、最後に将来性はあるのか見ていきましょう。
広告代理店の売上TOP3にweb専業広告代理店も入っている
2020年5月時点の広告代理店業界の売上TOP10を見てみると、3位にサイバーエージェントが入ってることがわかります。
その他にもインターネット広告代理店が複数ランクインしていますね。
インターネット広告代理店(web専業広告代理店)の規模の大きさが伝わったかと思います。
インターネット広告はテレビの広告費を超えている
なぜ歴史の浅いネット広告で規模が大きい会社が多いのでしょうか?
電通によると、4マスと呼ばれる広告の種類の中で、2019年にインターネット広告はテレビ広告を抜きました。
背景としてはスマホの普及などで消費者がネットに触れる時間が伸びていることが挙げられます。
今後ネットに触れる時間が増えていくことは考えづらく、伸びていく方が現実的であることは想像に難くないと思います。
こうした背景を踏まえると、web専業広告代理店は今後もより伸びていくため、将来性は抜群という事ができます。
web広告代理店に転職したい人はこちらのwebマーケティングスクールのまとめも参考にしてみてください。