起業の科学を本気で実践してみた#2(Customer Problem Fit)

起業の科学を本気で実践してみた#2(Customer Problem Fit)

前回(Idea Verification)の続きです。

今回はCustomer Problem Fit部分の実施についての実践をお伝えします!

目次

起業の科学全体像

起業の科学の全体像
出典:Startup Science 2020完全版

起業の科学の全体像は上記の通りです。

アイデア出しの部分は前回実施したため、今回はその次のCustomer Problem Fitについてです。

つまり課題についての深堀部分です。

Customer Problem Fitの実践

それでは早速Customer Problem Fitの実戦についてお伝えしていきます。

※ちなみに、映画領域の方はCustomer Problem Fitまで実施しましたが、実施結果から一旦ペンディングとしました。いずれ再開するつもりです!

課題仮説の構築

ペルソナの設計

飲食領域のペルソナ

私自身の実体験があったので、自分に近いペルソナ像を想定しました。

更にペルソナをイメージするために、心情も書き出しました。

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項目詳細
何を課題(不満、不便、不安)に感じているか・探すのが大変(遷移が多い)
・欲しい条件で絞れない
・どの店、ジャンルが良いか決めきれない
何を達成したいのか労力を掛けずに、満足の行く店に辿り着きたい
インサイトを探る(本音ではどう思っているのか。心の奥底でコンプレックスを感じていたり、承認欲求があったり)・わざわざ毎回サイトで調べるのは面倒
・店選びはある程度運任せでなんとなく出てきたところに行けば良いのではないか

エンパシーマップの作成

ペルソナを更に理解するために、エンパシーマップを作成しました。

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項目詳細
・なにを考え、感じているか
・どういったことを心配しているか
・何を望んでいるか
・仕事終わった開放感と空腹から食事を楽しみにしているが失敗はしたくない
・探すの面倒だから軽い諦めのような感情
・何を聞いているか
・何を見ているか
・生活環境や交友関係は
・市場をどう見ているか
場所と居酒屋などで検索して、SERPに出てきたグルメサイト を見ている
・何を言い、行動しているか
・周囲に対する振る舞い方は
・どんな痛みを感じているか
・恐れ、障害、フラストレーション
・探すのが面倒
・わざわざ時間を掛けて探さなければ行けない
・何を得たいか
・欲しいもの、必要なもの、成功指標は何か
・瞬時に良い店を見つけたい
・レコメンドの精度(満足度)
・店の種類から考えるのが面倒

カスタマージャーニーの作成

これまでのユーザー像を基に、飲食店を探すユーザーのカスタマージャーニーを作成しました。

飲食店向けカスtマージャーニー

前提条件の洗い出し

ここまでペルソナについて詳細にイメージしてきたので、前提条件が間違っていないか、ジャベリンボードを使用して前提条件の洗い出しを行いました。

飲食領域のジャベリンボード

ここで検証しようと考えた項目の中で、自明でない項目は以下の3つです。(後ろに記載は検証成立の際の目安の%)

  • 飲食店を探す際は歩いて適当に探す(70%)
  • 事前に店をじっくり探していない(行く直前以外)(60%)
  • 探す際に不便さを感じている(50%)

課題〜前提の検証

課題仮説、前提条件の洗い出しが完了したため、ここからは実際にユーザーにインタビューを行い検証を行いました。

ユーザー集めは主に以下の手段を行い集めました。

インタビュー項目は以下の通りです。

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分類質問事項
デモグラ情報名前
デモグラ情報年齢
デモグラ情報居住地域
デモグラ情報職業
課題飲食店での食事は週にどのくらいの頻度でしますか?
課題アプリは何を使用しているか。
課題アプリを使用する/しない理由は?
課題サイトは何をしようしているか?
課題サイトを使用する/しない理由は?
課題飲食店を探す際はどんな時?どうやって探す?
課題アプリやサイトを開く前の状況から、実際に開いて探して閉じる所までを出来るだけ詳細に教えてください
課題その作業の際に何か不満に感じることはあるか
ソリューションその不満に対してもし魔法のランプがあってなんでも出来るとしたら、どうしますか?またはどんな物があれば良いと思いますか?それに必ず含まれるべき機能は何だと思いますか?

インタビューの実施

実際にペルソナに近い人たちにインタビューを数人行いましたが、数人行った段階で明らかに仮説通りのペルソナ・課題は違うと感じました。

詳細は戦略部分に関与してくるのでお伝えできませんが、強いペインとしては想定していた課題感と違い、「期待値ギャップ(つまり行く前のイメージと行った後の満足度)」の差分であり、その結果、「外さないための飲食店探し」になっているということが明らかになりました。

映画領域の検証結果でも同じ課題感が出てきたことで、確信を強めました。

Plan Aへの立ち返り

10人程度にインタビューした結果と映画領域でのインタビューや他の過去に取ってきたアンケートの結果から、0から仮説構築を行い直しました。

期待値ギャップを解消し、外さないための飲食店探しという現状を変えるため、20代前半の女性をターゲットに、動画×探さないUXで構築し直しました。

※これ以降は今戦略のベースにしている仮説や検証結果になるので、詳細は省略します。

なぜ今やるべきか

基本的にはターゲットと課題仮説を変え、前回同様のリーンキャンバスを作成したのですが、大きな追記事項としては動画をソリューションと置いた背景です。

それは、5Gの普及や、tiktokやyoutubeなど動画をスマホで見る環境・習慣が揃ってきたためです。例えば実際にクラシルDELISH KITCHENクックパッドを逼迫していることが証左と考えました。

また、課題の1つに「飲食店による作られた口コミ・投稿はステマだから参考にできない」という背景もあったため、投稿者と閲覧者をマッチングさせるリボンモデルを考えました。

そのため閲覧者と投稿者それぞれのパターンでペルソナ、課題仮説〜ソリューションまでを想定しました。

Customer Problem Fitの再実行

閲覧者・投稿者それぞれでペルソナ、カスタマージャーニー、ジャベリンボードを作成し、実際にインタビューを行いました。

今回もインタビューに関しては以下の手法を使用して集客しました。(1人1,000円の謝礼を支払って集客しています)

結果としては閲覧側のインタビューは20人投稿側のインタビューは24人に実施しました。

大枠の方向性は前回のインタビューで実際にユーザーから抽出した仮説を基にしたため、大きく外れていませんでしたが、カスタマージャーニーや課題感は何度も修正を行いました。

CPFの検証で学んだ大切なことは以下の2点です。

5人に聞いたらペルソナが深まってくる

一般的に、5人にインタビューしたら傾向が見えてくるとありましたがその通りでした。

5人程度にインタビューをすれば例えばこうした属性・特徴を持った人がペルソナになり得るんだとぼんやり見えてきます。

ぼんやり見えてきた特徴を仮説として、特徴を持った人に絞ってユーザーを集めて再度5人程度インタビューを行うとぼんやりしていた特徴が形を帯びてきます。

これを繰り返すことでペルソナ像がかなり具体化され、仮説の確からしさも深まってきます。

定量も大切だが、定性面も重要

ジャベリンボードでの定量的な検証も大切ですが、それだけだと課題の深さなどは測ることができませんし、ニーズや課題の抽象化も難しいです。

創業者自身が直接顧客と対話することが大切と色んな所で言われますが、正にその通りだと感じました。

電車移動中などの隙間時間に何度もインタビュー結果を振り返ると、その度に新たな発見がありました。

個人的には定量的な検証よりも、定性的な発見・直感が何よりも課題の質を上げる際に重要だと感じたので、これでもかとしつこく色んな角度からユーザーを見る事が本当に大事です。

「外さないための飲食店探し」に対する課題やペルソナ、カスタマージャーニーなどを定量・定性的に確信を持ったものができたため、、Customer Problem Fitは完了としました。(詳細はご連絡いただければ直接お伝えさせていただきます)

次はProblem Solution Fitについてお伝えしていきます。

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