起業の科学を本気で実践してみた#1(Idea Verification)

起業の科学を本気で実践してみた#1(Idea Verification)

突然ですが私自身もともと学生起業家でしたが、サービスをスケールさせることができずに挫折しました。

社会人になりスタートアップやメガベンチャーを経て経験を積み、再起を掛けようと一念発起し、同じ轍は踏まずに成功まで着実に至るため、起業の科学をベースにプロダクトの開発に挑んでいます。

備忘録も兼ね、誰かの役に立てればとその過程を公開できる範囲で詳細に残していければと思いこの記事を書いています。

※2021年5月現在、PMFに向けてサービス開発段階です。

目次

私自身のプロフィールや解決したい課題

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最初に、簡単に自己紹介をできればと思います。

私は学生時代にスタートアップでのインターンや学生起業塾でのMVP獲得などを経て、人材領域で学生起業しました。

が、当時明確に解決したい課題がなく、戦略やマーケティングの概念を理解していなかったこともあり、メンバーに愛想を尽かされた挙げ句、空中分解してしまいました。

自分の中で本当にやりたいことは何か、学生当時にGoogleドキュメント100枚を超えるほど発散・収束を繰り返し見えてきたことが、「ライフスタイル領域にて情報の非対称における機会損失を無くしたい」ということでした。

参考:ネット進化論

ネット進化論から拝借すると、サービスコマース×非目的型の領域に着目しました。

私自身が生い立ちの、とある要因により人よりも承認欲求が強いのですが、例えば何か(飲食店だったりサービスだったり)を知人におすすめして、それによって満足してもらい感謝をもらうことに至上の喜びを感じていました。

逆に、例えば中途半端なMARCH出身ということもあり周りは大企業しか見えていない中、私が珍しくスタートアップ界隈に詳しかったため、こちらの世界も見た方が向いている人はいるのになぜ見向きもしないんだろう、損をしているのではないかと非常にもどかしくも感じていました。

戦略・マーケティングを身に付けてから再起を掛けようと新卒で外資系の広告代理店、東証一部の戦略に優れたメガベンチャーなどを経て、現在プロダクトの開発を行いながら起業に向けて動いています。

そもそも起業の科学とは

起業の科学は、今やスタートアップの教科書とも言える書籍です。スタートアップや起業家が陥りがちな失敗を避けるためにの方法論が詳細に解説されています。

一連の流れは以下の通りです。

起業の科学の全体像
出典:Startup Science 2020完全版

Idea Verificationの実践

自分自身の課題感があったため、解決したい具体的なアイデア出しは自分の経験をベースに行いました。(学生時代からアイデアは溜めており、ビジコンに出したりもしていたため3年くらいは考えていたでしょうか。今思うともっと早く動きべきだったなと。。)

ちなみにアイデア出しの方法は大きく3つに分類されると考えています。

  • 事例起点(海外過去事例など)
  • 課題起点(自分自身)
  • 構造変化起点(未来)

私自身が最終的に目指したいプロダクトは、「そこ(サービス)に行くだけで、自分の望む最高のコンテンツに出会えるコンシェルジュのようなプロダクト」です。なぜ今これが無いのか逆算し、課題まで立ち帰りプロダクトを再構築していく流れでサービスを作っていこうと考えました

課題の洗い出し

人の情報との出会い方をパターン化していった結果、「検索」に課題があると感じました。(考え始めた当時は今のようにSNSでの検索が主流ではなかったため)

何かを自分で選択して決めなくてはいけない状況は苦痛」が課題であり、「何かを探した際のコンテンツへの満足度の向上」がニーズであると整理しました。

  • 考えて決めなければいけない苦痛
  • 参考になりそうな多数の同じようなサイトが存在している
  • 選択肢がサイトの選択肢に制限される(もっと自由に求めるものを検索したい)
  • うまく検索できない(クエリがわからないなど)
アンケートの結果、138名の回答を集めた

実際に定量的にも簡易的に課題があるか知るために、アンケートも実施し、138名の方に回答いただき、こうした課題感はありそうだなと仮決めしました。

ここから、ソリューションとしてはそれぞれ以下のように考えました。

  • 考えて決めなければいけない苦痛
    • 選択肢を提供、ニーズを引き出し推薦してあげる(検索させない)
  • 参考になりそうな多数の同じようなサイトが存在している
    • 多数のサイトの情報をまとめる(アグリゲーション)
  • 選択肢がサイトの選択肢に制限される(もっと自由に求めるものを検索したい)
    • フリーワードで検索(入力に対してのトリガーも多数用意)
  • うまく検索できない(クエリがわからないなど)
    • 検索させない(受動的な検索)

機能は上記の通りで、これを満たすソリューションとしてチャットボットが使えるのでは無いかと想定しました。

市場の選定

検索に関してはある程度どの市場でもユーザーは同じ動きをすると想定していたため、私自身が実際に課題を感じた領域を選ぶことにしました。

候補としては以下の領域を挙げました。

  • 旅行
  • 飲食
  • 映画
  • お出かけ
  • EC

なるべくニッチな領域から始めようと映画領域と、自分が頻繁に課題を感じる飲食領域の2つを選定しました。

ちなみに起業の科学を実践しようと思う前に、映画領域に関しては社内のビジコン用に自分なりに理論を組み立てて資料化していました。

nobu

新卒2年目に出したので今見ると恥ずかしい点が多いですが、、

その年の優勝者は居なかったものの、決勝まで残りましたので、プレゼン用資料はこちらからDLできます。

スタートアップの潜在性検証

なぜ今やるのか、TAM(市場規模)の検証です。

なぜ今やるべきか

タイミングの問題は、技術的な側面と、消費者環境の変化の側面に着目しました。

技術的な側面からは、例えばgoogleがbertを発表し世界中に衝撃を与えたように、言語処理技術や、レコメンデーションなどAIを軸とした技術が一般的になっており(モデルも公開されファインチューニングするだけで誰でも精度の高い技術を使用できる)、これまで人工無脳と呼ばれていたチャットボットにも人工知能と呼べるような挙動を持たせることが出来るのでは無いかという点。

消費者環境の変化は、2点です。

tiktokの台頭やインスタグラムを始めとするSNSの流行からも分かるように、検索から受動的なレコメンドへと情報の流通が変化していること。

web上のコンテンツの飽和→キュレーションメディアの台頭→キュレーションメディアの飽和→能動的な検索の限界(コンテンツとそれをまとめるサービスそれぞれの飽和状態)という流れ。

2点目に関しては例えばgoogle自身もGoogleディスカバリーなどで検索不要の流れに移行しているように思われました。

TAMについて

将来的には様々な領域を統合しようと考えていましたが、各領域のTAMを算出してみました。

・映画領域

映画領域については5000億円。

・飲食領域

飲食領域のTAMの算出式

飲食領域(外食販促市場)は約9,000億円。

こうした試算から、どちらも領域としては小さすぎないと判断しました。(起業の科学によると100億以上が目安)

Plan Aの作成

課題や領域などを定めたため、それぞれリーンキャンバスでPlanAを作成しました。

映画領域のリーンキャンバス

飲食領域のリーンキャンバス

次のCustomer Problem Fitに関しては別記事にて記載していきます。

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