KPIマネジメントが形骸化していると感じたことはありませんでしょうか?
または、しっかりKPIを見てるつもりでも伸びていないという経験はありませんか?
計画無き実行は改善不可能なので、どの企業や組織でもKPIを用いて成果判断をしていると思います。
複数の組織でKPIマネジメントを経験してきた経験から、事業成果を改善する為の正しいKPIマネジメントの方法をお伝えします。
正しいKPIマネジメントをして、月間数億円の売上を120%改善した経験から学んだ手法をお伝えしていきます!
KPI(Key Performance Indicator)とは?
方法をお伝えする前に、一度KPIとは何か整理しておきましょう。
結論からお伝えすると、Key Performance Indicatorの略で、KPIとは事業成果を改善するために最も注力すべき指標数値です。
KGI(Key Goal Indicator)について
組織・企業が活動を行う際には必ず目標が存在します。
営利組織であれば、一般的には売上のトップラインを目標としますが、この目的のことをKGIと呼びます。
KGIとは、Key Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標を意味します。
KSF(Key Success Factor)について
売上を上げると一言で言っても、複数の方法があります。
そのためまずはKGIを分解します。
例えば売上の場合、まず「個数」と「単価」に分解する事が出来ます。
更に例えば「個数」を分解すると「人数」と「頻度」と「一回当たり購入個数」に分解する事ができます。
絶対解は無いので、複数パターン作る事ができます
このように、分解していった指標のうち、KGIに対してインパクトのある指標をKSFと呼びます。
KSFとは、Key Success Factorの略で、重要成功要因を意味します。
KSFの設計は難しい
先ほどの「個数」の例でも、人生に一度しか買わない商材の頻度を増やす事は出来ませんが、1,000円程度の商材であれば頻度がKSFになるかもしれません。
つまり、商材や業種、経営環境により注力すべき指標は違うのです。
KPIとはKSFを数値化した指標
重要成功指標であるKSFですが、KSFを目標として数値化した数字がKPIになります。
例えば先ほどの例で「一回当たり購入個数」をKSFとした場合、KPIは「3個」などになります。
KPIについての良くある勘違い
KPIについてよく勘違いされていることが、KGIを分解した全ての数値をKPIとして認識されている場合です。
全ての指標を一気に伸ばしていくと言うのは現実的に不可能です。
あくまでKSFを数値化したものがKPIとなります。
KPIという言葉だけが独り歩きしているのでこうした勘違いが起きているのでしょうね…
KPIの良くある間違った使い方
正しいKPIの使い方を理解してもらうために、まずは良くあるKPIの間違った使い方を紹介させていただきます。
実際に私が携わっているスタートアップの事業責任者でも間違っていたりします。
良くある間違った使い方は、以下の5つです。
- 毎週・毎月変わらない KPI目標
- コントロール出来ない数値をKPIに設定している
- KGIから逆算していないKPI設定
- KSFではない(改善に繋がる指標ではない)KPI設定
- 常に何個もKPIを追っている
それぞれ解説していきます。
毎週・毎月変わらない KPI目標
おそらくどの企業でも、週次や月次でのKPIの進捗確認のミーティング、会議を行っているかと思いますが、毎回KPIが変わらないことが多いのではないでしょうか?
KGIに近いKPIを扱っている経営層であれば問題無い場合もありますが、少なくとも現場ではあり得ません。
1つのKPIに注力した結果、振り返ると基本的には新しい課題が見えてきます。
そのため、注力するKPIに対してPDCAを回すのであればKPIが変わるはずなのです。
振り返った結果変わらないのであればそれでOKです。
コントロール出来ない数値をKPIに設定している
次に良くあるのが、コントロールできない指標をKPIとして置いているケースです。前述した通り、KPIというのは基本的には改善するための数値です。
そのため努力しても改善出来ない数値をKPIとして置くのはNGです。
例えば営業が「通電率(電話が通じた数)」をKPIとした場合、電話の掛かりやすさはコントロールが出来ません。
この場合荷電数などの、コントロール出来る数値をKPIとするべきです。
KGIから逆算していないKPI設定
KGIから逆算されていないKPIを置いているケースも多々あります。
例えばwebマーケターであれば、「売上に繋がるリード数」を増やすべきなのですが、単純な「リード数」とKPIを置いていることがあります。
これは、webマーケター=リードを増やすことが目的でしょ?というボトムアップでの目標設定に起因します。
KSFではない(改善に繋がる指標ではない)KPI設定
KGIから逆算していないKPIと近しいですが、重要でない=KSFでない指標をKPIとしているケースも見られます。
例えば店舗運営している企業を例にしてみると、「毎週のチラシ配布枚数」をKPIと置くことがあるかもしれません。
しかし実はチラシを配布したところで来店に繋がっていない場合、チラシの配布枚数は重要な、伸ばすべき指標ではないです。
しっかりとKGIに繋がっていることを検証済みか、検証するための指標をKPIとすべきなのです。
常に何個もKPIを追っている
これが最もあるかもしれません。
例えば事業計画を毎月全ての数値が均等に伸びていくなどを設定している場合です。
KPIというのは注力して伸ばす指標のため、多くのKPIを同時に伸ばすということは、取るべきアクションが不明確であることと同義です。
つまりKPIというのは基本的には数が少ない方が効果的なのです。
こうしたいくつかの間違ったKPIの使い方により、結果的にKPIが形骸化してしまっているのです。
成果を改善するKPIの正しい使い方
間違ったKPIの使い方から、正しい方法について少しずつ見えてきたのではないでしょうか?
それでは正しいKPIの使い方について解説していきます!
KPIとは見るものではなく改善するための指標
まず、正しいKPIというのは、見る(計測する)ための指標なのではなく、改善するための指標です。
毎週KPIに置いている数字を振り返る会議をしていても、毎回達成できていなければそれはKPIとして不適格です。
計測することはもちろん、振り返った上で、
- 改善した結果KGIがどうだったのか
- 達成できなかったのならどうしたら達成できるのか
- 達成不可能な数値であれば何をKPIと置くべきか
こうしたことを都度振り返っていくことが正しいKPIの使用方法です。
指標=KPIではなくKSF=KPIと認識する
ここまで何度もお伝えしてきているように、KPIとは「重要成功指標を数値かしたもの」であり、全ての指標のことではありません。
「全部の数字が売上に直結しているよ!」ということも分かりますが、あくまで「最もインパクトのある注力すべき指標」のことです。
注力すべき指標なので、本来追うべき指標は数少なくなるはずです。
つまり、正しいKPIとは厳選された数少ない指標(場合によっては1つ)になるのです。