マーケティングを語るうえで欠かせない「CPO」という言葉をご存じでしょうか。
これを意識するかしないかで、利益を取れるか取れないかが決まると言っても過言ではありません。
今回はCPOについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
CPOとは
CPOとは、受注1件あたりに必要となった費用のことで、Cost Per Order(コストパーオーダー)の略です。
基本的にはEC(通販)業界で使われることの多い指標です。
受注するまでには、広告費や販促費、営業活動費などの様々なコストが発生します。
それらの費用を総称してCPOと呼ばれています。
CPOの重要性
ビジネスをするうえで、CPOは必ず理解しておかなければなりません。
もし、CPOが何か知らずにビジネスをしてしまうと、価格設定や予算設定を誤ってしまい赤字になってしまう可能性があるのです。
どんな商材であり、どんなビジネスモデルを展開するかにもよりますが、購入1件あたり必要になるCPOの平均は約10,000円と言われています。
これは、多くの方が考える金額よりも高額です。
広告費などを加味して金額設定をするのでしょうが、CPOを甘く見積もってしまい、赤字経営をしてしまうような企業も往々にして存在しています。
また、CPOを考えず事業を走らせ、思わぬコストの発生に足踏みをして、チャンスを逃してしまうケースもよく聞きます。
こういった失敗のリスクを避けるために、CPOを理解しておくことが重要です。
そして、受注目標を明確に設定し、その受注を獲得するための資金を調達しておく必要があります。
CPOの算出方法
ここではリスティング広告やディスプレイ広告(以下PPC広告)を運用した場合のCPOを計算してみます。
PPC広告は1クリックあたりで費用が発生するのが一般的で、クリック単価とその広告のコンバージョン率(CV率)によってCPOは算出されます。
例えば1クリックあたりの単価が100円、CV率を1%、購入率を50%とすると、CPOは以下の通りです。
これで、1件受注するためには2万円が必要になると分かります。
商品単価は当然2万円以上に設定しなければ、高確率で赤字になるのです。(実際は原価率も考えて商品単価を設定する必要あり)
となると、できる限りCPOを抑えたいというのが本音かと思います。
CPOを抑えるためにはクリック単価を下げるか、CV率を上げる必要がありますが、クリック単価に関しては固定です。
ですので、CV率を上げる方に注力すべきなのです。
ちなみに、似ている概念として、Web上のゴールを達成するための費用を「CPA」といい、SaaS系の商材での顧客獲得単価のことを「CAC」と言います。
コンバージョン(CV)の概念
コンバージョン(CV)とは、WEBサイト上でユーザーに達成してもらいたいゴールのことを指します。
例えばBtoBであれば資料請求、通販サイト(EC)であれば購入など、商材やジャンルによって異なります。
つまりは、CV率1%というのは広告に興味を持ってクリックしたユーザーのうち、1%が契約または購入につながるための行動をした、ということになります。
このCV率を上げるためには、広告から流入したユーザーの期待感をさらに上回る価値を与えることができるとアピールする必要があります。
言いかえれば、CV率はサイト分析やPDCAサイクルを回すことで上げることができる可能性はあるのです。
こうしてCV率を2%に上げることができれば、クリック単価は100円のままでも
100円(クリック単価)÷2%(CV率)=5,000円(CPO)
となり、必要な資金が少なくて済みます。
実例でCPOを考える
具体的に現場でのCPOの考え方を解説していきます。
仮に10,000円の商品を販売するとして、クリック単価100円、CV率1%、原価率を50%として計算してみます。
まずはCPOを算出すると
CPO=100円(クリック単価)÷1%(CV率)=10,000円
広告から自社サイトへの流入が100回で、1回の流入(クリック)に対し100円が発生するので広告費として10,000円が発生。
そのうちの1回が販売につながったのでCPOは10,000円となります。
販売価格10,000円に対しCPO10,000円なので、±0円となりますが、原価率が50%なので実際は5,000円の赤字となってしまうのです。
なのでこのCPOでは利益が出ないどころか負担になることが分かりました。
この場合の解決方法として、広告費を発生させないために購入者のリピートを狙うか、またはCV率向上を狙う必要があります。
最終的に広告からの流入ではなく、指名買いやリピートのお客様を増やすことでCPOは減っていき、利益が発生することになるのです。
CPO算出のための関連指標の平均値
ここでは関連指標の平均値を説明します。
ただし、理解しておいてほしいのはここで挙げる金額が全てではないということです。
各項目の値というのは、取り扱う商品や競合の有無などによって変化します。
簡単にこれが水準だと言えるようなものではないのです。
あくまで目安であり、最低でもこれぐらいの金額は必要になるだろうという基準としてお伝えしますので、ご了承ください。
クリック単価(CPC)
クリック単価に関しては、入札するキーワードによって大きく変動します。
ニッチなワードを指定すれば、ある程度の金額で抑えることはできるでしょうが、最低ラインとしては50円ほどと考えるのが無難です。
ただ、現実的には50円ほどで利用できるワードは多くはなく、またワードによっては1,000円以上の入札になるものも存在します。
例えば金融系の商材だと1クリックで5,000円ほどになることもあります。
最低ラインで50円、基準として100円〜200円程度と考えるのが一般的となります。
コンバージョン率(CVR)
CVRは何をもってコンバージョンしたかにもよります。
商品が販売されてコンバージョンしたとするのか、無料お試し契約に申し込みなのか、はたまた資料請求なのか。
このように提供するモノによって違いますが、基本的にCVRは5%あれば上出来であるとされています。
広告代理店にて何十社も見てきた経験から、多くのWEBサイトは5%にも満たないCVRなのです。
あえて基準となる値を出すならば、3%ほどとなります。
100回アクセスがあってCVが3件ということです。
ネット上で完結しない場合
広告からの流入でアクセスがあった場合でも、インターネット上で完結せずに商談が必要な場合もあります。
資料請求やお問い合わせから、どれほど成約につながるのでしょうか。
商談化率
商談につながる割合は一般的には約80%ほどと言われています。
興味があってアクセスし、お問い合わせまでしているユーザーなので、そういった方は話を聞いて判断したいと思っているものです。
同業数社に話を聞いて良い企業を選ぼうとしますので、必然的に商談できる確率は高くなりますが一定割合で商談に繋がらないので、その割合を加味する必要があります。
購入率、注文率
商談したうえで、購入・注文につながるのは一般的に約30%ほどです。
この数値を高いと思うか低いと思うかは意見の分かれるところですが、私は割と高いと感じます。
よくあるテレアポからの商談だと、成約率は10%以下であることがほとんどなのです。
では、なぜ30%もの確率で成約につながるのでしょうか。
これはもともと興味を持っているユーザーに対し、実際の使用感を確かめてもらえたり、メリットを存分にアピールすることができるからと考えます。
ただし、競合の強さによってこの数値は前後します。
また、住宅などの高単価な商材の場合はこの限りではありません。
リピート購入が大切になる
前述した通り、一度の購入でCPOを回収することは難しく、リピートしてもらうことが重要になります。
仮にアクセサリー販売をネット上で行い、5,000円のネックレスを販売するとします。
クリック単価100円の広告を運用し、CVRは3%とすると、33回アクセスされてようやく1つ購入されるということになるのです。
そうするとCPOは3,300円、販売価格5,000円なので原価率を含めなくても2,800円の赤字になります。
しかし、このネックレスを気に入ってもらえれば、プレゼント用にもう1つ購入してもらったり、他のアクセサリーも一緒に購入してもらえるかもしれません。
リピートの際はわざわざ広告を経由しませんので、CPOは発生しないのです。
これを繰り返すことで赤字から黒字にしていくことができます。
リピート購入が、最大限利益を生むためには大切なのです。
CPOは事業で一番大切とも言える
ここまでの話で、CPOを考えずに経営をする危険性と、CPOの重要性が理解できたかと思います。
マーケティング戦略を考える上で、CPOの概念は避けて通ることができないため、必ず考慮する必要があります。
広告を打ち、多くのユーザーの目に触れることで、自社の商品やサービスの購入につながります。
購入したユーザーがリピートすることで広告費を上回る利益を出すことも十分に可能です。
「粗利>CPO」でwebマーケティングが成り立つのです。