今日は、「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」の要約をご紹介します。
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則とは
明快な文章を書くことは、明快な論理構成をすることにほかならない――。
本書は、マッキンゼーをはじめとする世界の主要コンサルティングファームでライティングのコースを教えるバーバラ・ミントが、独自の文書作成術を披露した本である。著者はまず、多くの人がわかりやすい文章を書けないのは、論理構造に問題があるからだ、と指摘する。その上で自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、物事を上手に論理立てて述べるテクニックを伝授していく。序文で人の注意を引きつけるにはどうすればいいか、相手を説得するのにどんなロジックを用いればいいか、問題点をどうやってまとめればいいか…。文章について人々が抱くさまざまな疑問点について、それぞれ適切なフレームワークを用意している。サンプルとして用いられている事例が複雑でわかりにくいのは気になるが、その分実務でも応用可能な論理的思考の訓練ができる。
仕事で報告書や企画書を作成する必要のある人は、本書の内容を実践することで、戦略に基づいた説得が可能になるだろう。読むのに骨が折れるが、その分密度の濃い1冊だ。
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考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則の要約
どんなメッセージであれピラミッド型になる
一つの文章がピラミッドの頂点にきて、その文章のテーマこそ文書全体のテーマになる
その文章は読み手の疑問に答えるもので、背景には状況があり、複雑化が生じ、これにより疑問が生まれ、それに対して答えていくものである
〜書く技術〜
①ピラミッド構造の重要性
書き手と読み手は、ピラミッド構造で伝えるとわかりやすい(縦は一連の流れ、横は論理的で繋がったピラミッド)
→頭の中では一定の規則にしたがって記憶をしようとするから
考えを書き表していく上でもっともわかりやすい順序は、まず全体の要約を述べ、そのあとに個々の考えを一つ一つ説明していくこと
→一個一個説明されると、頭の中で関連性を理解しようとすることにエネルギーを使ってしまうから
全ての文章は常にただ一つの考えをサポートするようなピラミッド構成になる
適切なピラミッド構成になっているかチェックする点は以下の3つ
- どのレベルでもメッセージはその下位グループ群を要約するものである
- 各グループ内のメッセージは常に同じ種類のもの
- 各グループ内のメッセージは常に論理的に順序づけられている
→演繹の順序、時間の順序、構造の順序、比較の順序の4種類しかない
②ピラミッドの基礎構造フレームについて
・縦の関係
書き手は、論理的に考えて読み手がこれ以上の質問をしないところまでQ&Aを繰り返す
→メッセージは必ず読み手に疑問を生じさせなければならず、その疑問は一段下のレベルで横並びで答えられなくてはならない
・横の関係
単に上位ラインに回答をするだけでなく、帰納的論理か、演繹的論理(三段論法)を用いて論理的に答える必要がある
・導入部のストーリー展開
読み手を惹きつけるために導入が必要(疑問を持ってもらう、または再度ストーリーを語ることにより、疑問を再認識してもらう)
惹きつけるためには読み手の疑問を正しく認識することが必要
「状況」が設定され、その中で「複雑化」が発生し、それが「疑問」を呼び起こし、書き手の文書がそれに「答え」を与える
上記3つの基礎構造を使用すれば自分の考えを明確にでき、ピラミッド作りに取り掛かることができる
③ピラミッドの作り方
トップダウン型とボトムアップ型のアプローチが存在
※キーラインレベルでは演繹法よりも帰納法の方が簡潔に説明できる
※いきなり書き始めるのではなく、まずトップダウン型に考えを構成することから始める
・トップダウン型
導入部を記載後、いきなり書き始めるのではなく、以下の図を使い、導入部とすり合わせながら順番に考えていく
・ボトムアップ型
自分の考えが明確化しておらず、ピラミッドの頂上がわからない場合はこちらの考え方を使用する
- 自分が言いたいポイントを全て書き出す
- それらのポイント同士にどのような関係があるのか考える
- そこで結論を出す
ここまでの注意事項は以下の通り
④導入部の構成方法
導入部で読み手がすでに知っていることを要約し、文書中で答える必要がある疑問を明らかにする。これによって書き手は疑問に答えることに集中できる。
導入部は常にストーリー形式を取る
(読み手に親しみのある既知の設定、そこに複雑化の発生、その結果読み手に疑問が芽生え、その疑問に対して答えを出すスタイル)
複雑化は状況(事実)と疑問を繋ぐこと
大体は以下の4パターンに分類される
・導入部の長さ
読み手と書き手が同じ土俵に立つ程度の長さで良い
長々と書かれたものは明白なことをくどくど書いてしまっている
それぞれのキーラインポイントにもど導入部は必要である
本文の導入句よりは簡潔にする必要があるが、同じく「状況、複雑化、疑問」を記載した後にキーラインを述べていく
⑤演繹法と帰納法の違い
ピラミッドの横方向は演繹か帰納でしか並ばない
演繹
→いわゆる三段論法。それゆえにで繋がる。相互関係あり。上部はこれらを要約したものになる。ただ一つの確証しかない場合に使用する。
帰納
→そのグループ内の類似性についての意見、推測を述べる。横に相互関係はなし。メッセージを名詞一語で表すことができるグルーピング。上下の理由付けが正しいものかチェックする。
どちらの方が強い理由づけになるということはない。基本的に演繹はまどろっこしいため、キーラインに関しては帰納を使うべき。
両者の見極め方は、第二ポイントが第一ポイントの主部か述部についてコメントしている場合演繹、第二ポイントでコメントできなければ第一ポイントと同じ種類の名詞で表せるかを試して帰納か確かめる。
〜考える技術〜
⑥ロジックの順序に従う
ピラミッドのグループ内はロジックに基づいて順序付けされる必要がある。
特に帰納法でもそれは言えること。
頭の中で行える分析方法は以下の3つのみであるから、どれに当てはまるか確認する
・ある結果に対する原因、対策を考えるときは「時間の順序」→原因と結果に対して使用する
時系列に並べるということは、ある結果を達成するために必要なステップを実行に写す順番に記述すること
・組織図や構造を表すときには「構造の順序」→要素がMECEに区分されるもの
なんらかの順序で並ぶ
グループ内の論理欠陥チェックにも使用できる
・ある類似したものをまとめるときは「度合い・重要度の順序」
共通の特徴を持つものを類似のものとして分類し、グループ化した時に用いる
ex.)この会社は問題が3つある
重要度の高いものから順番に並べていく
※これらは複数使用しても良いが一つも使用しないのはだめ
ポイントを書き出した後は、以下の手順で順序を探る
- ポイントの種類を明らかにする
- 同じ種類のポイントを同じグループでまとめる
- グループの順序を探す
⑦グループ内の考えを要約する
演繹的なグループ化→三段論法により容易に上部の要約メッセージは導き出される
帰納的なグループ化→下部のメッセージが何を意味するかについて述べる必要がある
帰納法は多くの場合、書き手は単に考えをグループ化するだけで、考えるプロセスを完成させないまま終わることが多い。ピラミッド下部のグループの要約がうまくできない結果、以下のような白紙の主張に終わってしまう。
ex.)「我が社は3つの目的を持たなければならない」
白紙の主張を避けるために必要なことは、前章で述べたように以下の通り
・グループ化の根拠となる考えをチェックし、それがMECEになっているか確認する(プロセス、構造、分類なのか)
・次に、自分が作成しようとしているポイントの種類を考える
最初の考えに対して正しいグループ化を行い、本当の要約メッセージを引き出した後は以下の方法でさらに考えを発展させることができる
- 最初の考えに対して意見を述べる(演繹法)
- 最初の考えと似た考えを述べる(帰納法)
考えの根拠がなんであろうと、その表現は、読み手に
1、「何かをせよ」という行動の記述
-一連の行動によって得られる期待成果を記述することによって行動の考えを要約する
2、「何かについて」説明する状況の記述
-各ポイントの類似せいが何を意味するのかを記述することにより、状況の考えを要約する
のいずれかになる→帰納的グループを要約するということは、一連の行動の結果を述べるか、一連の考えから推測される結論を導くかのどちらか
1、「何かをせよ」という行動の記述
グループ内の各行動は、グループ全体として一つの結果を達成するということを除くと、それほど大きな関連性を持っていないということが問題
その結果、ある目的達成のために必要な行動をリスト化する場合、不足している行動がないかどうかチェックすることが難しい
上記を解決するために、以下の3つを行う
・それぞれの行動をできるだけ具体的な言葉を使って表現する
因果関係のヒエラルキーでは最下部から一つずつグループごとのメッセージを述べていけるはず(この3つを行えば上記結果が得られる、次の上位レベルの3つを行えばさらに上位の結果が得られる)
→この最終的に得られる結果をなるべく数値などの具体的なものにすることで、ヌケモレが防げる
・グループ化を明白な因果関係で構成する
行動のステップを並べる際に、行動の順序でリスト化してしまう場合が多い
→行動のレベルを階層化する必要がある。具体的には次の行動の「前に」この行動をしてもらいたいのであれば同じレベル、次の行動を「生み出すために」その行動をしてもらいたいのであればそれは一段下のレベル
→ピラミッドを構成する際はあくまでもたらすべき最終結果に従って構成する
・結果の記述は一連の行動から直接得られるものを書く
プロセス内のグループ化をしたあと全体の結果を要約し表現する
以下の2つの原則に従う
- グループ化はMECEに行う
- 要約は行動を実行して直接得られる結果を最終結果物をイメージできる言葉で表現する
上記3つの行動を端的にまとめると、行動の考えをわかりやすく伝えるためには、各ポイントを最終成果物として具体的に書く、次に要約のレベルを階層化する、そして行動から直接得られることを書く
2、各結論に類似点を見つける(類似性から状況の考えを要約する)
状況を伝える場合、以下の2つのステップを行う必要がある
・考えを結びつける構造上の類似点を見付け出す
考えとは常に主部と述部で構成される文章で表現される→以下の3つのいずれで類似性を探す
- 各ポイントの文章が同じ種類の主部を論じている
- 各ポイントの文章が同じ種類の述部(行動または目的・対象)を表現している
- 各ポイントの文章が同じ種類の判断を意味している
上記をチェックして、同じ種類のものに対して何を言いたいのか明らかにする
・類似点の中により深い関連性を見出す
類似性を抜き出した後、それらのポイントの関連性を見直し、結論を導く
〜問題解決の技術〜
問題志向型の文書とは以下の基本質問のどれかに答えるもの
- 何をすべきか?(解決策がわからない場合)
- それをすべきか?(解決策がすでに提案されている場合)
- それをいかにしてなすべきか?(解決策がわかっており、すでに受け入れられている場合)
上記のケースでは、質問の原因となった問題について、その性質を導入句で定義し、その後問題分析や見つけた解決策をピラミッド型に配置する「ステップ」や「理由」の形で(あるいは演繹的に)提示する。
理想的には以下の流れ
問題定義→分析を構造化→分析を実施し解決策を見出す→考えを伝えるためにピラミッドを作成
⑧問題を定義する
「問題」とは、何もしなければ同じ結果しか生まれない状態「望ましくない結果」を好ましく思っておらず、他の結果を欲しい「望ましい結果」ということ。
「解決」とは「望ましくない結果」から「望ましい結果」にどうやって到達するか伝えること。
→上記のプロセスは以下の分析法を使う(質問に沿って)
————————————(問題を定義する)————————————
1、問題がありそうか(あるいは改善の機会はありそうか)
2、問題はどこにあるのか
————————————(分析を構造化する)————————————
3、問題はなぜ存在するのか
————————————(解決を発見する)————————————
4、問題に対し何ができるのか
5、問題に対し何をすべきか
分析結果を伝える場合、1、2への答えが文書の導入句となり、3〜5への答えはピラミッドの中に配置されるポイントとなる
問題を定義する
・要素を配置する
以下3つの質問に答え、必要な要素を書き出す
- 今何が起きているのか?(スタートポイント/オープニング + 懸念される出来事)
- 今の何が望ましくないのか?(「望ましくない結果」)
- 代わりに何を望んでいるのか(「望ましい結果」)
上記を以下の図のように書き出して整理する
→これらに答えられれば問題を正しく定義されている(※基本的に答えはスタートポイント/オープニングの中にある構造やプロセスに見出せる)
→その後問題分析の構造化へと移る
問題の配置の仕方は以下の通り。
・スタートポイント/オープニング
→懸念される出来事が起こる構造やプロセス
ex.)ある会社があります。その会社は3つの倉庫から全国に家庭用品を配達していました。
・懸念される出来事(今起きていること、起きるかもしれないこと、起きそうなこと)
→構造やプロセスに関心を向けるきっかけ。何らかの出来事でそれが昨日しなくなる事態に陥る。オープニングの比較的安定した環境を脅威に晒し、望ましくない結果をもたらす何か。
外的要因、内的要因、新たな認識のいずれかに当てはまる
・望ましくない結果
→一つではなく出てきただけ書き出す
・望ましい結果
→望ましくない結果に代わって生み出したいものをなるべく具体的に記載する
問題の配置が終わったら、読み手の疑問を探す
基本的に以下の7パターンのどれかになる
次は、問題定義の各部分を導入部へと変換するする(p187に例あり)
⑨問題分析を構造化する
一般的にはまずデータを集めてから考え始めることが多いが、その方法は非効率
→事前に原因分析のフレームワークとロジックツリーを作成し、それに基づいて分析と考え方の道筋をつける方法を取るべき
端的に言うと、
- いくつかの仮説を設定する
- 仮説が妥当か判断するためのチェックポイントを設定する
- 仮説を証明する明確な結果が得られるまでチェックを繰り返す
- 証明された仮説に基づき、望ましい行動を提案する
問題が発生した分野の構造(オープニングやスタートポイント)を適切な診断フレームワークを使用すれば良い
→MECEのように図式化する
パターンは3種類のみ
1、「構造」
→ビジネスや産業の仕組みにはいくつかのユニットが特定の機能を実行するために集まっていると言うはっきりとした構造がある。そのシステムが機能している状況、または本来機能すべき状況を図示する
2、「因果関係」
→特定の結果から因果関係の要素や活動をたどる
ツリーを事業遂行に必要なタスクで構成する方法や、望ましくない結果を引き起こす活動をたどる方法などがある。上位を細分化していき、原因の特定を行う。基本的に頂点からスタートする
3、「分類」
→有りうべき原因を類似性で分類する方法。まずは有りうべき原因を書き出し、
類似性で分類し、次にそれに対するイエス・ノー質問を作成する(これがチェックポイント)
この方法はロジックツリー的に作る方法や、単純に2つの選択肢を作り続ける方法などがある
どのような時にどのフレームワークを使用するべきなのか
→分析対象の分野をどれだけ知っているかに依拠するため、
まずは対象分野全体の知識をつける必要がある
つまり、問題分析のために必要となる診断フレームワークとは一般的に問題定義のオープニングの部分で示唆されている
フレームワーク作成→効率的なデータ収集後、問題解決策を考える際には、ロジックツリーを使用する
→ロジックツリーを使用することで、問題解決に繋がるいくつかの活動を論理的にリスト化することが可能
全て洗い出した後に、それぞれの行動に対して利点をリスクを計算し、一連の行動を決定する
※課題とはYes/No質問の形式を取るもの
〜表現の技術〜
⑩文書構成にピラミッドを反映させる
どんな形式で他者に伝えるにせよピラミッド型のロジック構造や、ピラミッド内の考えの関係を視覚的にサポートするものでなければならない
→視覚表現を使用してロジックの理解を助ける
以下は
代表的な視覚効果。とにかく視覚的に伝わりやすいことを意識する
・短い文章(1段落の文章)
→構造を強調する(下線を引くなどの方法でポイント構造が目に飛び込んでくるようにする)
・短い文章(キーライン・ポイントが2段落以上の文章)
→最初にポイント紹介を行い、その後に見出しを用いて展開する
・長い文章
1、ヒエラルキー型見出し
ポイントがピラミッド下部になるに従い、それを明確に示す合図となるように見出しを設定する
同じレベルの考えは視覚的にも同じ形式で扱う(類似の考えも同じ品詞にする)
注意点は以下の通り
・それぞれのレベルで見出しが一つで終わってはいけない
→あくまでピラミッド構造のレベルを示すものだから
・見出しは考えの本質を表現するにとどめる
→見出しは内容を気付かせるものであって要約ではない→できるだけ簡潔にすべき
・見出しの各グループを事前に紹介する
2、ポイントのアンダーライン(構造はヒエラルキー)
キーラインレベル以下に補助ポイントについて、そのポイント全体にアンダーラインを引き、考えの階層構造をわかりやすく示す
→アンダーラインを読むだけで内容を把握できるようにし、読み手にスピード感を与えたい場合
3、数字インデックス
→見出しの代わりに数字を用いる方法
参照しやすいが、修正が面倒という点もある
そのため、必ずしも下部の段落でも数字を用いるべきはない(下部ではアルファベットやローマ数字にするなど)
4、インデントによる右寄せ
→下の階層にいくに連れてインデントを足していく
→文章があまりにも短く、自分の考えの区分けを強調するにしても見出しや数字インデックスをつけるには不適当な場合だが、自分の考えのグルーピングを強調したい時に使用する
※気を付けるべきことはそれぞれを同じ記述スタイルで表現すること
5、ドットダッシュの箇条書き
インデントによる右寄せの変形
インデントによる右寄せに加えて、強調したい部分の先頭に「-」を使用する
導入部を書き終わり、文書全体を書く場合読み手に今どこにいて、次にどこに行くのかを把握してもらうために、それぞれのキーラインに対して、短い導入句を書く必要がある。
注意するのは二つの章の構成を関連づけたいのではく、伝える中身を関連づけること。
方法は大きく二つに別れる
・ストーリーを語る
→SCQ(状況、複雑化、疑問)ストーリーを作成し、キーラインポイントでその疑問に答える方法
・今までの記述を振り返る
→前を振り返る・・・前の部分から主たる考えを抜き出し、それを冒頭で使用する
→章や節を要約する・・・極端に複雑で長くなった場合に一旦要約する
→全体を締めくくる・・・全体の最後に、述べたことを単純に繰り返すのではなく、読み手の感情を適度に高揚させる言葉で締める(ぜひ皆様と作業したいと願っています、など)
→次のステップを述べる・・・文章を終えて、今後に取るべきステップを羅列する(この際、疑問を生じさせてはならない)
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